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東西名探偵/平×新のSSブログです。幸せイチャイチャ中心。                                                               死にネタ別れネタなし。初めての方はカテゴリーより「はじめに」をクリックしてください。                                                 ご意見、ご感想等ございましたら カテゴリー下にあるリンクのWEB拍手や文末コメントにてお願いします。
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2026/07/02 (Thu)
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2010/05/11 (Tue)

bitter 続きです。
前回まではこちら。
bitter bitter2 bitter3 bitter4 bitter5 bitter6




どのくらいそうしていたのか、そろりと緩められた腕に新一は噛み締めていた唇の緊張を解く。
伏せられていた平次の瞼がすうと持ち上がり、強欲な意思が現れた目にゆらめいていた。
薄く唇が開いて、ちろり覗く舌が赤い。
ぞくぞくと背筋を這い上がる感覚。
工藤、と再び名前を呼ばれて、それがより深く自分に根付いたことを知る。
解かれた腕、離された胸。寒さを覚えて、無意識に平次を見つめる。
褐色の肌が濡れた白いシャツに透けて、剣道で鍛えられた上半身がその形を顕わにしていた。
柔らかく弧を描く胸ではない、しかしゆるり隆起する筋肉の作り出す影がひどく扇情的で目を奪われた。
その隙をつかれ、するりと平次の手が新一の頬を緩く撫でる。
たったそれだけで、もう動けない。
射るような平次の視線を正面から受け止める。
頬から顎へと伝う平次の指、僅かに力がこめられて新一の顔を少しだけ傾けさせた。
ゆっくりと近づく二人の距離、息がかかるほど近く近く引き寄せられていく唇。
瞼は閉じることを忘れて、ひたすら目の前の男を見つめるだけ。
新一の顎を支えていた指はすとんと滑り落ちて、肩を伝い次に上腕を掴んだ。
ぐっと引き寄せられる強さに新一は硬直する。
平次の睫が思ったよりも長いのだということに初めて気付き、それはどうでもいいことなんだと考えていた。
それが動揺だと悟るものの、なお近づく距離を全身で感じる。
近づけば何かが変る。新一はそれが恐ろしいのだ。
怯えの色が濃厚に瞳を染めて、意図せず腕が震えてしまう。
唇が触れる手前、震える腕を掴む手の力が強められた後、
平次はすいと顔をいざらして新一の肩へと額を乗せた。
「すまん。」
ポツリ謝罪が告げられると、彼は立ち上がり、きゅっと音をたててシャワーのコックを閉める。
瞬く間に止んでいく雨に平次の髪は濡れて、より黒く艶やかに流れる。
滴る雫を払いもせずに腕を伸ばして棚の上にあったバスタオルを手に取り広げるとそれを新一の肩からふうわりとかけ、
自分はその横にあったフェイスタオルで顔や髪を拭い出した。
その仕草を見て、新一の脳裏に数年前の出来事がよぎる。

不審な水音と、船内を探索しても見えない姿。
夜の海に 服部、と名前を喉が裂けるほど叫んで、呼んだ。
確信のないまま、けれど喪失の予感に指先まで凍りそうで足が震えて、
新一は小さな姿のまま必死に彼を探した。
事件が終わり明るい空の下で毛布一枚だけを羽織ったこの男の髪は、
今のようにまだ雫が残るほど濡れていて。

――― そうして唐突に気付く。
すでに自分が選択を終えていることに。


一向に動こうとしない新一に痺れを切らし、平次がバスタオルで新一の体を服ごと拭い出す。
脱がせるのは流石に抵抗があるのだろう、少し怒ったような顔をして目を逸らしながらごしごしとタオルを動かす。
新一はゆるゆると垂れ下がったままの両腕を動かし、水を吸って重くなった平次のシャツの裾を指先で掴んだ。
驚いた平次が動きを止めて、そらしていた視線を戻して新一の目を見る。
「謝るなら、最初から何も言わなきゃよかったんだ。」
目の前の光景を見ていない、そんな遠い目で話し出す新一に平次は驚く。
ゆっくりとその目の焦点が平次へと向けられていき、奥から彼の持つ本来の光が蘇り始める。
シャツを掴む指にどんどん力がこめられていき、それと共に平次は新一の声の強さに息を飲む。
視線は逸らせない。新一が平次を、いつもの彼の目で見るのは今日はそれが初めてだったから。
憎しみにも近いその表情を瞬きもせず見つめる平次は、それでもどこかうっとりとした気持ちでその目を見ていた。
新一の指が平次のシャツを離れると、今度はその手が拳を作り平次の胸の上に叩くようにして置かれた。
大きく息を吸う音が聞こえて、同時に彼の額がこつりとその手に乗せられる。
指先すら動かせず、平次はその一連の動作を黙って見つめていた。
より深く新一が平次へと体を預け、バスタオルがはらりと肩から滑り落ちる。
「お前が俺のことを好きだなんて言うから、」
壊れたものがある。
眠っていたものが引きだされ、曝け出されてあげく自分をズタズタにする。
 

08

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こば
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女性
自己紹介:
二児の母。2009年に唐突に平新に。
何故だと自問自答しつつも数年ぶりに筆をとる。
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