「・・・おい。」
むかむかするような思いが胃にたまる。
「もしかして、本音が聞きたくなかったのは俺の気持ちを信じてなかったんじゃないだろうな・・・。」
「へ?」
意外な言葉をきいたらしく、ぱちくりと目を丸くする平次の表情でそれはなかったと新一は安堵する。
「じゃあ、どーして、そんな一言で動揺すんだよ。」
「動揺かてするわ!お前の言葉で聞けたんやで?」
俺のせいかよ。
「・・・・・・。」
じとっと上目遣いに睨みつければ、
「・・・一度も、言葉ではきいたことなかったんやもん。」
平次はまるで怒られた子供みたいに、しゅんと項垂れた。
抱きしめてキスをする。
嫌がられずに抱き返す腕の力で、新一の答えはわかる。
だけど、言葉はなくて。
けれど、それを彼の意思以外の力で吐き出させるのは、自分の望みではなかった。
たかが言葉だ。
こだわったこともあったけれど、孤高である彼の傍らに自分の居場所を持たせ、
なおかつ深く体の奥にまで侵食を許されるのだ。
答えなんて、推理しなくても明らかだろう。
しかし実際に言葉にされれば、体中に歓喜が湧き上がった。
その声に、血が沸騰するかと思った。
「・・・嬉しくて、おかしなりそう。」
小さな子供のように、しがみついてくる腕に新一は言葉を失う。
言葉のない自分をわかってくれていて、言わないだけなことも理解してくれていて。
だからこそ、薬に頼るまいとした平次の気持ちに感謝した。
「・・・次はないぞ。」
「ええ~。たまにはええやん。」
強請る声に本気の色はない。
ポーズだけ、俺が困らないようにしている。
ならばいっそ。
平次の胸に頬を摺り寄せた。
「・・・たまに、な。」
くすっと笑ってそう言うと、何故か平次の顔が泣きそうに歪んだ。
続いて、力いっぱい抱きしめられる。
「好きや!工藤!」
声に色があるなら、それは虹のように輝く。
「・・・うぜえよ。」
くすくすと笑いが止まらない。
甘いものがたりない体に、十分に満ちていく彼の思い。
・・・けど、感謝なんてしねえからな。
今頃、笑みを浮かべているだろう灰原を思いだしながら、
近づいてくる平次に自分から口付けた。
何故だと自問自答しつつも数年ぶりに筆をとる。
