警察の事情聴集が長引いたのだろう。
その疲労を苦笑で隠しながら、平次は深夜ふらりと工藤邸を訪れた。
サンキュ、と新一が短く礼を言うと、平次は笑みを深くして新一の髪をぐしゃりとかきまわした。
「かまへん。とりあえず、情報交換でもしよか。」
「ああ。コーヒー入れてやる。リビングで待ってろ。」
「おーきに。」
けれど、そのコーヒーは平次の胃袋へと入ることはなかった。
新一がリビングへ温かいコーヒーをいれ戻ってくると、平次はソファで眠ってしまっていた。
くかーと、だらしなく口を開けて、しかもご丁寧にその口の端には涎までたれている。
「・・・きったねー寝顔だな。おい。」
せめて客間のベッドで寝ろよ、と肩を小突くが、眠りが深いのか目を覚ます気配はない。
ふと、思いついてソファサイドに膝を突き、平次のシャツの袖をめくる。
案の定だ。傷を負ったらしく、警察での治療を受けた形跡がいくつかあった。
「・・・気にせんでええ。」
検分していれば、目を開けぬまま平次が呟いた。
「してねーよ。」
「ひどいのはないわ。全部かすり傷程度や。」
「・・・・おう。」
それだけ言うと、ごろりと平次は寝返りをうってまた寝息を立て始める。
「起きたんならベッドで寝ろよ。」
「ここで、ええー・・・。くどうはちゃんとベッドいきー・・・」
寝息に混じりごにょごにょと口の中で言うと、今度こそ本気で平次は寝入った。
一つ、ため息をついて新一は立ち上がる。
リビングを出て、戻ったその腕には毛布。
ふわりと一枚広げて、平次へとかけてやる。
そしてもう一枚、新一の腕には毛布が残っていた。
その毛布をごそごそと自分に巻き付けると、平次の足元近くの床に座り込む。
ソファを枕に、少しだけ平次の足に頭をくっつけて新一はゆっくりと体の力を抜いていく。
思ったよりも疲れている。瞼が重い。
新一はくわあと欠伸をすると、目を閉じた。
けれど、まだ全てが終わった訳ではない。
仮眠を取ったら、明け方にでもすぐ動かねばならないだろう。
何故だと自問自答しつつも数年ぶりに筆をとる。
