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東西名探偵/平×新のSSブログです。幸せイチャイチャ中心。                                                               死にネタ別れネタなし。初めての方はカテゴリーより「はじめに」をクリックしてください。                                                 ご意見、ご感想等ございましたら カテゴリー下にあるリンクのWEB拍手や文末コメントにてお願いします。
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2026/07/01 (Wed)
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2010/03/02 (Tue)

「なんでやの!」
自分に向けられていた好意が愛情だったなんて、今始めて知ったみたいな顔で立っている男に涙ごと言葉を投げつける。
「なんで工藤くんなんっ。他にいくらだって平次なら選べたやろ?」
特定の女性とつきあわなかったのは、自分を選んでくれるかもしれないという期待だと思っていたなんて馬鹿みたい。
とても大事にされていたのがわかったから、それだけで有頂天になっていて。
「服部の家はどうすんの?あんた長男やろ?親戚連だって黙ってないで。」
両親にも告げたから、おまえにも一応報告しとくなんて言うから、何のことかと思えば一緒になる人がいるという。
もしかしたらこんな日が来るかもしれないと、何度も何度も繰り返し考えてきたからとうとうこの日が来たかと、握った手に嫌な汗を感じながら平次の報告を聞いた。
どんなひとなの、と抑えきれない震えた声で問えば、あまりに意外な答えに怒りがこみ上げた。
「…信じられへん。なんでやの?ホモだったん?」
アホウと小さい声で返す平次に、また怒りが募る。
それじゃあ、なんで私やないの?
「だったら女の方がええやん。なんでよりにもよって工藤くんなの。」
男にも劣るというのか、自分は。
他の男から告白だって何度もされた。スタイルもいいって、褒めてもらったことも多くある。
きちんと美容にも気を使って、料理の腕も磨いて、いつか彼の隣に立つ日を夢見て。
「結婚もできせん、胸だってない。子供だって産めないやないの!そんな人間と一緒になったかて、ええことなんてひとつもない。」
「女と結婚すれば子どもができるわけでもないやろ?」
和葉の言葉を黙ったまま受け止めていた平次が、ふいに言葉を挟む。
静かに、けれど有無を言わせぬ重さを含んだ言葉に和葉も口をつぐんだ。
「産めずに苦しんでいる人がいるのも知っているのに、そんな言葉つこうたらあかん。」
「・・・せやかて、」
溢れる涙もそのままに、ぐうっと拳をにぎって悔しさに震わせる。

「女は子供を産む道具とちゃう。」

真正面から和葉を見据える平次の目は、その声と同様とても静かなものだった。
見ていられなくて、俯けばまた涙がぽろぽろと頬から零れて落ちた。
拭おうとしてか平次の手がわずかに動いたが、すぐにその手を下げてまた立ち尽くす。
しばらく和葉の押し殺した嗚咽だけが続いて、平次は彼女の涙が少し落ち着くまでじっと待っていた。
しゃくりあげる声が小さくなるのを合図にしてか、平次が呟く。
「俺には工藤しかおらん。」
その言葉がつらくて、和葉は首を左右に振った。

「悩まんかったわけやない。けど、どうしても工藤がよかった。」
いっそう強く首を振って、また泣き声を大きくした。何も聞きたくない。
けれど、平次は声を荒げるでもなく淡々と言葉を紡いだ。
和葉が一言も聞き漏らさないことを信じているし、・・・知っている。
「長男に生まれて、きちんと子供こさえて、家継ぐんも大事なことだってわかってた。」
本当は聞きたくない。
泣いて泣いて、その声に少しでも彼が揺らげば、そこに飛び込んで奪い返したい。
「おかんやおとんが大事に俺を育ててくれたみたいに、家族がどんだけ必要かもわかっとるつもりや。帰る場所のありがたみをここ数年は特に感じたわ。」
けれど、と言葉を切り、和葉の泣く声が収まるのを待つ。

自分でもわかっている。これはただのワガママ。ヒステリー。
でも平次は、平次のことちゃんと知ってる私ならわかると思って話してくれている。
かっこわるくとりみだす私でも、変ることなく彼は今までと同じようにいてくれている。
掌に爪が食い込むほど強く、もう一度きつく手を握り締める。
強くあれ、彼の傍にいるために強くあれと何度も言い聞かせて背筋を伸ばす。
勢いあまって睨むように顔をあげれば、優しい顔をした平次が苦笑した口元を隠さずにいた。
その口元が軽く開いて、小さくありがとうと呟くのがわかった。
顔を上げた自分を褒めたい、そんなふうに思えた。
「俺は他のもん全部なげうってでも、あいつの傍におりたいと思った。」
私だってそうや!プライドも何もかも、全部捨ててでもあんたが取り戻せるんなら。
「なあ、たった一人に会えた。それは俺にとってもめちゃくちゃ幸せなことだったんや。」
私にだって、あなたはたったひとりのひと。
最後まで謝罪の言葉を口にしない優しさが憎いくらい。

「男とか女とかってことはとても重要だけれど、それを超えるくらいあいつのことが好きなんや。」

――― たったひとり、大切な人。

浅ましく泣いて縋ってでも、取り戻したいあなた。
けれど、もうこの手には取り戻せないほど、深く他の人を好きなあなた。

「・・・ええわ。もう。むちゃくちゃええ男と結婚して、かわいい子こさえたる。」
涙がまだ止まらない。悔しい。やっぱまだ、むちゃくちゃ好きや。
でも好きだからこそ。
「すごーく幸せな私の姿見て、むっちゃ後悔するとええわ。」
吐き捨てるような口調に、眉を下げて苦く笑う平次の表情が少しやわらいだ。
負け惜しみの口調の祝福は、けれどきちんと平次に届く。
「ほんま、アホやね。」
「ん。」
「アホやわ・・・。」

こんなに痛む胸も、彼のものなのが悔しい。

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soypsurroup 2013/12/20(Fri)15:20:53 編集
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pigAntina 2013/12/21(Sat)10:25:08 編集
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Awobunup 2014/01/30(Thu)01:14:54 編集
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Agipuiv 2014/02/03(Mon)01:31:18 編集
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自己紹介:
二児の母。2009年に唐突に平新に。
何故だと自問自答しつつも数年ぶりに筆をとる。
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